「食育」を考える (保田校長先生)

 

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みなさんは「ごはんを炊く時の水加減」をご存じですか?

現在、ほとんどの家庭では炊飯器でごはんを炊いているので、その目盛りをみればわかるかもしれません。
しかし、目盛りのない鍋や釜ではどうでしょう?


正解は、湯気も吹きこぼしもほとんどない炊飯器では、お米1合に対し1合が入る容器の水で炊けるようになっています。
つまり容積で1:1の割合です。湯気や吹きこぼしがある昔の釜の場合、吹きこぼれる水を余分に入れる必要があり、水は2割増しとしてきました。


このような暮らしの知恵が家庭で子どもに伝えられ、小学生でもごはんが炊けるようになれば、まさに子ども自らが生きる力を身につけたということになるでしょう。

自分でごはんが炊けるようになれば、子どもは自分の生活能力に自信を持つことができ、それとともに毎日毎日食事を用意することの大変さとありがたさを理解し、家庭における自分の役割をも理解できるようになると思います。

さらに食べ物の大切さや正しい食べ方、健康に生きる暮らし方をも会得するようになるかもしれません。


食育とはこのように、子どもたちにしっかりと生きる力を育むことでもあり、その基本は学校ではなく家庭にあるのです。


私は兵庫県立コウノトリの郷公園が推進しているコウノトリの野生復帰事業のお手伝いをしていますが、その子育てからも食育について考えさせられることがあります。

ヒナは卵から孵っておよそ10週で巣立ちますが、巣立ち間近になると親鳥と見分けがつかなくなるくらい大きく成長します。

当然、エサの量も多く、親鳥の3倍ほど食べるといわれています。
ですから親鳥も両親で必死にエサのドジョウを捕り、ヒナに運びます。
ところが、いよいよ巣立ちの時期になると、親鳥はぱたりとエサを運ばなくなります。
巣立ちは自然におこなわれるのではなく、実はヒナを空腹にさせ、たまりかねて巣から飛び出していくよう、親鳥が仕向けているのです。
無事に巣立ちを終えると、親鳥は早速ヒナにドジョウやフナの捕まえ方を田んぼや用水路で教えるのです。


しかし、いつまでもエサを運ぶ親鳥もいないわけではなく、その親鳥に育てられたヒナは当然巣立ちが遅れます。すると、エサの捕まえ方を学ぶ時期が遅くなり、そのヒナはエサの取り方が下手になると言われています。

自然界でエサの捕まえ方が下手になるということは、生きていけなくなるという厳しい現実があります。


人間にも同じ事が言えるのではないでしょうか。

いつまでも子どもを抱え込み、可愛がっていると、逆に子どもの生きる力を奪うことになりかねません。「可愛い子には旅をさせろ」ということわざがありますが、子どもの頃から生きる力、自立する力を育むことが、家庭の重要な役割です。

食育はそのためにも重要なのです。

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)