筋肉と健康 (鈴木先生)

 




筋肉は、アスリートの基礎体力や競技力の発揮に必要であるだけでなく、私たちの健康作りやその維持のためにとても重要な役割を担っています。

筋肉がどのように私たちの健康づくりの鍵を握っているのか,考えてみましょう。

筋肉は、全身のたんぱく質の50パーセント以上を保持し、もっとも活発にたんぱく質合成をしている組織です。

その筋肉は、全身で分解される脂肪の70パーセント、そして炭水化物についても70パーセントを分解する、体内最大のエネルギー源分解組織です。

それは、アミノ酸を結合してたんぱく質を合成するには多量のエネルギーが必要であり、そのエネルギー源として脂肪とぶどう糖が分解されるからです。

この代謝は基礎代謝と呼ばれ、夜の睡眠中も、日中の活動時にも営まれます。

したがって、たんぱく質合成のもっとも盛んな筋肉は、体内最大の基礎代謝量を担う組織なのです。

筋肉のたんぱく質合成は発育発達期の子ども時代に旺盛なので、高校生のころ基礎代謝は生涯最大レベルに高まります。
しかし、20歳過ぎから始まり、とくに40歳前後の中年期に入ると、筋肉のたんぱく質合成力が低下するため、筋肉は減量し活性代謝を低下させるため基礎代謝が低下します。

その結果、エネルギー源の脂肪とぶどう糖が燃えにくくなり、とくに脂肪の分解が悪くなります。
その結果、皮下の脂肪組織や腹腔内の脂肪組織に体脂肪がたまりやすくなり、動脈壁に脂肪やコレステロールが沈着して動脈硬化が進みます。

肥満、特に腹腔内の腸間膜に脂肪が過剰蓄積する肥満になると,インスリンの分解がうまくいかなくなって高インスリン血症、インスリン抵抗性が高まって糖尿病にかかりやすくなります。

また、動脈硬化が進むと高血圧が発生しやすくなり、心臓の冠動脈硬化が進むと心臓病に罹りやすくなります。

すなわち、肥満してメタボリック症候群を発生させてしまうのです。

また、老化によるたんぱく質合成力の低下は、筋肉のほかに骨でも進みます。
骨には鉄筋役を担うコラーゲンという強靭なたんぱく質があり、これにセメント材のカルシウムが塗りこめられて骨が出来上がります。
筋肉も関係があります。肌にせよ、身体にせよ、コラーゲンが不足する状態を老化といいます。
骨を強くするためにもコラーゲンは必要です。
セメント剤のカルシウムをいくら一生懸命摂取しても、鉄筋のコラーゲンをつくっておかないと、カルシウムは骨づくりに働くことなく尿に排泄されてしまい、無駄になります。
コラーゲン以外にも、たんぱく質は細胞、酵素、ホルモンの主成分として身体を支えています。

では、肥満やメタボリックシンドローム対策のための筋肉づくりや骨づくりには、どのように運動し栄養を摂取すればよいのでしょうか?

その基本は「運動」「食事」「睡眠」のリズムとタイミングを科学的にセットすることに尽きます。

運動としては、ダンベルなどで軽量の重量負荷を与えながら筋肉をゆっくりじっくり繰り返し伸縮運動させるダンベル体操を日常化するのが、筋肉の増量と代謝活性を高めるのに有効です。

筋肉には赤筋と白筋があります。
赤筋には毛細血管がよく発達しており、酸素が沢山供給されます。その酸素を受け取って貯蔵するミオグロビンという赤い色素が赤筋には多いので、赤筋では脂肪の分解に働く有酸素エネルギー代謝が効率よく営まれます。
したがって、赤筋を沢山もつ牛、馬,かつお、マグロなどはスタミナに優れています。

それに対して白筋は、酸素貯蔵に乏しいため、ぶどう糖を無酸素エネルギー代謝で分解して疲労素の乳酸にしてしまうので、疲労しやすいスタミナの乏しい筋肉です。

したがって、健康づくりには赤筋を増やすことが重要ですが、それにはダンベル体操のようなインターバルトレーニングと同質の有酸素エネルギー代謝活性を上げる効果を持つ運動が有効です。

ダンベル体操の筋肉・骨づくり作用は、食事でたんぱく質を摂取し、あまり時間をおかずにダンベル体操を実行すれば大きくなります。

また、基本食の3時間後あたりで高たんぱく質スナックを摂取し、1時間後あたりで15分のダンベル体操を実行すると、より効果的に筋肉づくりが進みます。

そして、もっとも効果的に筋肉・骨づくりが進む時間帯は夜の睡眠中です。眠りについて30分後あたりで始まるノンレム睡眠(深い眠り)により、たんぱく質合成を促進する成長ホルモンが多量に分泌されます。

したがって、夕食でたんぱく質食品の肉や魚の料理を食べ、1時間後あたりでダンベル体操を実行し、入浴してリラックスして牛乳を飲み、間もなく睡眠をとるタイミングとリズムが、筋肉と骨づくりの促進に有効です。

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)