「○○めし」の魅力




「ごはん」という言葉とほぼ同義語に「めし」という言葉があります。

ともに漢字をあてると「飯」であり、もともとお米を炊いたごはんのことが転じて食事のことをさすようになったものです。

しかし、「ごはん」は「御飯」でていねいな感じを受けるのに対し、「めし」はフランクで庶民的なイメージです。

「○○めし」は親しみやすい「庶民の味」。

それだけに地域との結びつきも強く、全国に名物の「○○めし」があります。


駅弁をみてみると、まさに「○○めし」のオンパレードです。

厚岸(北海道)のかきめし、森(北海道)のいかめし、仙台のはらこめし、高崎のとりめし、小田原の鯛めし、浜松のうなぎめし、福井のかにめし、神戸の肉めし、高松のあなごめし、下関のふくめし、小倉のかしわめし、宮崎の椎茸めしなどなど、枚挙にいとまがありません。

みなそれぞれの地域ご自慢の食材を使用し、まさに名物を折にぎゅっと詰めた玉手箱のようです。


一方で、地域限定でありながら、特産物ではなくむしろ地域の文化と大きく関わり生まれたユニークな「○○めし」というのは珍しい存在ですが、兵庫県にそんな「○○めし」が2つあります。加古川の「かつめし」と神戸・長田の「そばめし」です。


加古川のかつめしをご存じですか?加古川の人は「知っていて当然」と思われるでしょうが、播磨地域以外の人には「聞いたことがない」という人も多いのです。

このかつめしは加古川ではほとんどのレストラン、食堂、喫茶店で当たり前のようにメニューとしてエントリーされ、スーパーのお弁当コーナーでも定番です。

かつめしとはお皿の上に盛られた白ごはんの上にカツを乗せ、そこにデミグラスソース系のたれをたっぷりかけます。付け合わせにはゆでたキャベツが一般的で、お箸で食べるのが常道です。

カツはビーフカツが基本のようですが、トンカツやチキンカツも散見されます。

起源が洋食屋さんのまかないめしということからも、気軽に食べられる庶民派という面が伺えます。

店によってソースやカツの味に「秘伝」があり、食べ歩くのも楽しいかつめし。

加古川市観光協会発行の『かつめしマップ』にはなんと100以上もの店がズラリ。

地元の人にはそれぞれお気に入りの味があるそうで、まさに地域密着の「めし」です。



長田のそばめしも庶民の味です。

長田にはお好み焼き屋さんが至る所にあり、その密集度は日本一とかで、「地ソース」も君臨しています。


諸説あるようですが、昭和30年頃にとあるお好み焼き屋さんで、工場で働く女性のお弁当のごはんを焼きそばと一緒に炒めたのがそばめしの起源として知られています。

長田のもう一つの名物であるぼっかけ、つまりすじ肉と合わせたそばめしが定番のようです。

そばとごはんをすじ肉、キャベツ、ネギなどの具と鉄板で炒めます。そばをコテで細かく刻むことで、ごはんとバランス良く混ざります。

ソース味は、鉄板でほどよくこげたごはんやそばと絶妙の相性です。


そばめしは長田を中心に、神戸周辺のお好み焼き屋さんで見かけるばかりか、最近では大手冷凍食品メーカーで商品化されたり、全国チェーンの居酒屋メニューに載ったりと知名度を上げています。


かつめしも、そばめしも、地域に愛され生活の中に定着しています。

この「○○めし」こそ、ごはん料理のバリエーションを広げる救世主=メシアなのかもしれません。
2010.11.22 Monday ごはん四方山話 00:00 comments(0)