ひなまつりとお米

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冬が去り春になり、最初にやって来る賑やかな行事といえば、ひなまつりではないでしょうか。

ひなまつりの起源は諸説あり複雑なのでここでは割愛しますが、もとは人形(ひとがた)を流すなどお祓いという側面がいろいろなならわしのルーツであるといわれています。
また、お供え物などに田の神を迎える儀礼との関連を指摘する説もあるようです。


ひなまつりに欠かせないのがひしもちです。
ひしもちはご存知のとおり菱形で、紅・白・緑の三色が重なって華やかなひなまつりに彩りを添えています。

この色の意味については「紅=桃、白=雪、緑=草」という説もあれば、「紅=疫病除け・魔除け、白=清浄、緑=邪気払い」という説もあります。

江戸時代後期には、一尺(約30僉砲發△訛腓なひしもちを贈答した家もありました。


かつては3月3日に草餅を食べていたようです。
草餅に使用される草は、古くは春の七草の爛乾ョウ瓩任△詈貉卅陝覆呂呂海阿機法後にヨモギへと変化しましたが、この両者とも昔から薬草として知られていて、邪気を払う効果、つまり猖盻け瓩領呂あると考えられてきました。

ひなまつりはもともとお祓いの日に由来していたこともあり、その効果があると信じられてきた草餅がひしもちのルーツのひとつと考えられています。

ひしもちを飾る風習は江戸時代からですが、当時は白い餅と草餅を重ねた緑・白・緑という構成が多かったようで、現在でも一部の地域では緑・白・緑のひしもちを飾っています。


菱形という形についても、娘を襲った龍を菱の実を使い退治した、先端がとがっているため厄を除けるなど諸説あります。

また、菱形が女性を象徴するという陰陽道の解釈ともいわれています。

陰陽道では男性は狹鍬瓠⊇性は狠廊瓩醗銘屬鼎韻蕕譟△修劉狠廊瓩鮠歡Г垢觀舛方形なので、菱形は女性を象徴すると考えられているためです。


白酒もひなまつりの重要なアイテムです。
白酒は江戸時代初期からつくられていましたが、ひなまつりに飲むようになったのは江戸時代後期からです。

ある地域では流しびなの時、子どもたちは人形と白酒で別れの杯をおこなって、その後泣きながら人形を流したようです。


中でも江戸の酒屋「豊島屋(としまや)」の白酒は有名で、白酒は豊島屋の主が夢で紙びな様から作り方を伝授されて完成したという伝説もあります。
その人気はすさまじく、初春(2月)の白酒の売り出し日はなんと1,400樽も売り上げたそうです。

「山なれば富士、白酒なれば豊島屋」とまで言われた猝省瓩如繁盛の様子は江戸名所図絵にも記録されています。


ひなまつりには、もち米を原料とするあられや、お米のポン菓子に砂糖がけしたひなあられも用意されますが、広まったのは明治以降のことです。

また、ほかにもひな菓子として、関西ではあこやもちが知られています。

これは紅・白・緑などの餅の台に餡玉を乗せ、真珠貝に見立てたものです。


このように、ひなまつりのお供え物の多くはお米からできているのです。



参考文献
中山圭子『事典 和菓子の世界』岩波書店
新谷尚紀監修『和のしきたり : 日本の暦と年中行事』日本文芸社
福田アジオ、新谷尚紀、湯川洋司、神田より子、中込睦子、渡邊欣雄編『日本民俗大辞典』 吉川弘文館
豊島屋本店ホームページ http://www.toshimaya.co.jp/


2010.10.13 Wednesday 食と文化 00:00 comments(0)