和菓子とお米

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四季折々の風情を食生活の中で楽しむ。

日本人は昔からそんな素敵なセンスを持ち合わせてきましたが、そのエッセンスが凝縮されたものに和菓子があります。

和菓子の材料にはさまざまな粉がありますが、お米を使用した粉も多彩で、頻繁に使われています。主なものを挙げてみると…

新粉・上新粉・上用粉:うるち米の粉。新粉より上新粉が、上新粉より上用粉がきめが細かい
餅粉:もち米の粉
道明寺粉:もち米を蒸して乾燥させたものを粗挽きにして大きさをそろえたもの。細かく引き割って煎ると新引粉、そのより目の細かいものを上南粉という
寒梅粉:もちをせんべい状に白焼きし粉にしたもの
白玉粉:もち米を何度も水さらしし、脱水、裁断乾燥させたもの
氷もち:もち米を水挽きしてできた米汁を煮て、枠に流し凍らせたものを乾燥させて砕いたもの
しとぎ:白米またはもち米を水に浸してやわらかくしたものをついて粉にしたもの


粉だけではなく、和菓子の材料として用いられるもちやあられもお米からできています。
水飴もかつてはもち米から作られるのが一般的でした。

尼崎の「琴城ヒノデ阿免本舗(ことじょうひのであめほんぽ)」では、今でももち米(三田産)だけを原料に水飴が作られています。

つまり、お米はいろいろと変身して、豊かな和菓子の世界の「立役者」となっているのです。

ところで、この時期の和菓子と言えばおはぎですが、ぼたもちとの違いは何でしょう?
「春のお彼岸は牡丹の花に言葉を寄せてぼたもち、秋のお彼岸が萩の花に見立てておはぎ」という説、「ぼたもちはもち米、おはぎはうるち米」という説などさまざまですが、実はもともと同じもののようです。

江戸時代に記された『本朝食鑑』という本に「母多餅一名萩の花」とあり、ぼたもちの別称の一つとして「萩の花」があったようです。
どうやらぼたもちには「顔が丸く大きい不器用な女性」という意味があり、宮中の女官が使う女房詞(にょうぼうことば)の「萩の花」が上品だったので、そこから萩の花〜おはぎとして定着したのでしょう。

昔はほかにもユニークな別称がありました。
お米をあまりつかず練りつぶすため、隣家ではいつついて作るかわからないことから「隣知らず」とよばれ、そこから転じた「夜船」(→着き知らず)や「北窓」(→月知らず)などは昔の人のウィットを感じます。

また、お米を半つきにするため「半殺し」という穏やかでない名称も。
宿の主人が夜に「半殺しにしよう」と言うのを聞いた旅人が勘違いして逃げ出した…という笑い話もあるとか。

いかにおはぎが庶民に親しまれていたかがわかります。


参考文献
中山圭子『事典 和菓子の世界』岩波書店
2010.10.06 Wednesday 食と文化 00:00 comments(0)