梅雨がもたらす楽しみ

梅雨がもたらす楽しみ

明日から6月ですね。

6月と言えば、多くの人が連想するであろう「梅雨」。ジメジメするし、雨ばかりでなんとなく気分も沈みがち…なんていう方も多いのではないでしょうか?

 梅雨とは、春から夏へと気候が変わる6月〜7月中旬にかけて、中国の長江下流域・朝鮮南部から北海道を除く日本列島に見られる雨期のことを言います。雨を降らせる原因となる「梅雨前線」は、小笠原高気圧とオホーツク海高気圧の境を数千キロにわたって東西にのびる前線のことで、ほぼ40日かけて本州を北上します。前線の北側はオホーツク海高気圧からの冷たい北よりの風、南側は小笠原高気圧からの温かい湿った南よりの風が吹いていて、これら2つの気流が前線付近に集まって上昇気流ができることで、雲が発生し雨が降るのです。

 では、「梅雨」という言葉はどのようにして生まれたのでしょうか?梅雨は、中国から来た言葉。長江流域では、梅の実が熟す頃に降る雨のことを指し「ばいう」と呼んでいました。しかし、日本人はその言葉をそのまま輸入するだけでなく、梅を加工して梅干を作るように、雨から「露(ツユ)」を連想して、梅雨のことを「ツユ」と読むようになったと言われています。また、元々中国では「カビの生えやすい時期の雨」という意味で「黴雨(ばいう)」という字を当てていましたが、カビの季節とはいえ語感が悪いので、季節にあった「梅」の字を使い「梅雨」という字に改めたという説もあります。梅雨の語源は実にさまざまです。


梅雨があるからおいしいお米が食べられる!



 たくさんの雨が降り続く梅雨。普段生活するにはうっとうしく感じてしまうこともあるかもしれません。しかし梅雨は木々や草花が命の盛りを迎える季節でもあります。アジサイやショウブなど、雨が似合う花々を眺められるのも、この時期ならではの楽しみです。ホタルが川面や草むらを飛び交ったり、アサリやマテガイなど潮干狩りで見られる貝が旬を迎えるのも、ちょうどこの頃です。

 また、稲作にとって雨は恵みそのもの。梅雨に入っても、カラ梅雨で日照りが続けば、水が不足し、稲は育ちません。米作りのためにも、梅雨は極めて大切な、歓迎すべき季節なのです。

 このように、雨は稲作に欠かせないものですが、雨と水田にはもっと深いつながりがあります。大量の雨をうまく処理するうえで、実は水田が重要な役割を果たしているのです。例えば、

「水資源かん養機能」
水田に貯められたかんがい用水や雨水が地下に浸透し、その一部が下流で湧水となって河川に流れ出ることで、河川の流れを一定に保ちます。

「洪水防止機能」
水田が雨水を貯め、時間をかけてゆっくり流れ出ることで、洪水を防いだり被害を小さくします。

「土砂崩防止機能」
水田がかんがい用水をゆっくりと浸透させ、地下水位の急激な上昇を抑えることで、地すべりなどの災害を防ぎます。

「土壌浸食防止機能」
水田に貯えられた水や、畑に植えられた作物の葉や茎が、雨や風の影響を和らげ、土砂の流出を防ぎます。

 以上のような働きから、よく「水田はダムである」と言われます。もし、水を一時的にコントロールし、ゆっくりと河川に流していく水田がなかったら、洪水による被害はさらに大きくなり、肥沃な表土の流失によって、日本は今のような高い農業生産力を保つことはできなかったでしょう。水田と雨は、互いに欠かすことのできない存在なのです。

 このように、梅雨のおかげでおいしいお米が食べられる!梅雨ならではの緑や雨の音も楽しんでみよう!そんな気持ちで、1年のうちほんの数週間しかないこの季節を過ごしてみませんか。

(出典・参照)
『水と緑と土』(富山和子、中公新書、1974年)
『水田のはたらき』(関矢信一郎、家の光協会、1992年)

2010.05.31 Monday 健康と環境 00:00 comments(0)