もっとごはんを食べるために

もっとごはんを食べるために


かつて、お米はたくさん食べられていました。当時は1日3合4合と食べられ、子どもでもごはんおかわり3杯なんていうのは珍しいことではなかったのです。ごはんは炭水化物、つまりエネルギーの供給源としてだけでなく、たんぱく源でもありました。ごはんに含まれるたんぱく質は優秀で、日本人はたんぱく質の多くをお米から摂っていたのです。

ところが、今ではそんなにごはんを食べなくなりました。1日に消費する労働運動量も昔に比べ減少し、身体がエネルギーを要求しなくなったからかもしれません。3合4合食べろと言われてもそんなに食べられないですし、乳製品や肉類など少量で高カロリーな食べ物もたくさんあります。昔と比べて、ごはんの必要性は低くなっているのです。

しかし、それで良いのでしょうか。世界を見渡すと、ジャガイモを作っている国ではジャガイモを食べ、小麦を作っている地域は小麦を食べている。日本ではこれだけお米を作っているのです。だから、お米をしっかり食べることはある意味当然のはずなのです。

「食べる」という行為に目を向けてみると、本質は生命を維持するための行動です。しかし、昨今ではそこから離れ、「楽しむ」という要素が非常に強くなってきています。つまり、目の前にある食べ物を食べるというよりは、食べたいものを食べるというように変化してきています。そうなると、教育でそれを補う必要が出てくるのです。これまでは嗜好性にまで踏み込むことははばかられてきましたが、いまの状況では「食を好きになりなさい」ではなく、「お米のごはんを好きになりなさい」とはっきり口にしないといけないと思います。「ごはんをもっともっと好きになって、たくさんお米を食べましょう」と言わなければならないのです。

おいしいものというと、どうしても油や砂糖などハイカロリーなものへと嗜好が向かってしまいがちです。やみつきになるおいしさを持つそれらのものに対抗することは、はなはだ難しい課題ではあります。しかし、唯一対抗できるものがあります。それは油の味、砂糖の味と同じやみつきになるおいしさを持つだしの味なのです。

だしの味には、やみつきになるほどのうま味があります。だしのおいしさを前面に押し出した食事の中に「ごはん」を上手に組み入れていくことが、これから求められていくのです。ローカロリーなのに満足度が高く、しかも健康にも良いという日本人の伝統的な食文化を取り戻すこと。そしてそれを子どもたちに伝えていくこと。それは、大人たちの責任でもあると思います。

 

2010.04.01 Thursday 健康と食文化 00:00 comments(0)