スゴいぞ!ごはん

スゴいぞ!ごはん
 私たちの国では、古くから稲を栽培してお米を作り、ごはんを炊いて主食にしてきました。しかし、「飽食の時代」とよばれる現代は食生活が欧米化 し、パンや麺、つまり輸入でまかなわれている小麦の消費が増えるにつれごはんの消費が減少し、さまざまな問題が起こってきています。昨今、あまりにも身近 すぎるためか、日本人はごはんの優秀さ、ごはんを中心とする日本型の食生活のすばらしさ忘れているような感があります。このシリーズでは、日本人が年百年 も食べ続けてきたごはんや、ごはんを中心とする日本型の食生活について、さまざまな角度からそのポテンシャルを再考していきます。
 第1回目は栄養面からごはんを考えてみましょう。
 突然ですが、ごはんに多く含まれる栄養成分と言えば何でしょう?「ご組」の生徒さんならもちろん、「炭水化物」と即答されるでしょう。

 炭水化物はぶどう糖に変化し、脳や体のエネルギー源となります。100gあたりの成分をみると、白米(水稲穀粒精白米)には約77.1gと豊富に炭水化 物を含んでいることがわかります。ところがほかの穀物の炭水化物量をみてみると、小麦(薄力粉1等)は75.9gと白米とほぼ変わらない量で、トウモロコ シ(コーングリッツ=コーンフレークの材料)では76.4gと、含有量ではごはんが突出してすぐれているとは言い難いのです。

 しかし、ポイントは量より質です。一般的に、お米は炊いてごはんにして、粒のまま食べる、つまり「粒食」です。一方、小麦やトウモロコシは粉にしてパン や麺などに加工、つまり「粉食」となります。炭水化物は分解され、腸から糖として吸収されます。腸から血液に取り込まれると血糖値があがります。そのと き、血糖値を抑えるためのホルモン、インスリンが分泌されます。ごはんは粒食で、しかもでんぷんの質が難消化性のため、糖の吸収がゆっくり。よって、イン スリンの要求量が少なくて済むのです。遺伝的にインスリンの分泌能力が低い日本人は、インスリンの要求量が大きい食生活を続けていると膵臓に負担をかけ、 糖尿病になりやすい傾向があります。

 また、ごはんに由来するぶどう糖は、余剰になった場合発熱して消費されるので、脂肪として蓄積されません。つまり、ごはんでは太らないのです。

 ごはんには、多くはありませんがたんぱく質も含まれています。たんぱく質は約20種類のアミノ酸が結合してできていますが、このうちイソロイシン、ロイ シン、メチオニン、リジンなど9種類は体内で合成することができません。これらは「必須アミノ酸」とよばれ、食物から摂取する必要があります。たんぱく質 の栄養価を示すひとつの方法として、アミノ酸スコアというものがありますが、これは必須アミノ酸組成の数値を基準として求められます。白米100g中たん ぱく質の含有量は6.1gで、小麦(8.0g)やトウモロコシ(8.2g)と比べると多くはありませんが、アミノ酸スコアをみてみると小麦は39、トウモ ロコシは31なのに対し、白米は61とダントツの値を示します。つまり、お米はアミノ酸のバランスがよいすぐれたたんぱく質を含んでいるのです。アミノ酸 スコアが優秀な理由は、穀物は含有量が少ないリジンを比較的多く(トウモロコシの約2倍、小麦の約1.5倍)含んでいるからです。それでも、白米に含まれ るリジンの量は理想的な量の61%しかありません。そこで、それをみそ汁が補ってくれます。リジンは大豆に多く(理想量の115%)含まれているので、ご はん+みそ汁という取り合わせは、アミノ酸摂取の面からも理にかなっているのです。

 白米でもこのように栄養面ですぐれていますが、玄米ともなるとミネラルやビタミンも多く含まれ、さらに栄養豊富です。玄米には白米と比べてカルシウムが 約2倍、マグネシウムが約5倍、鉄分が約2.5倍、ビタミンEが約6倍、ビタミンB1が約5倍、ビタミンB2が約2倍、食物繊維は約6倍含まれているので す。さらに、最近話題の発芽玄米は、血圧降下や脳の血流促進効果があるとされ注目のGABA(γ-アミノ酪酸)が豊富に含まれています。

 ごはんはおいしいだけでなく、このように栄養面からみても「スゴい!」のです。そんなすばらしい主食を得た日本人は、幸せだと思いませんか?


参考文献
高橋素子著・大坪研一監修『Q&A ご飯とお米の全疑問』講談社ブルーバックス
佐合隆一・飯島和子・飯島朝子『シリーズ食農学1 イネ・米・ごはん』全国農村教育協会
吉川弘之『東京大学公開講座61 コメ』東京大学出版会
ごはんを食べよう国民運動推進協議会編『ごはんを食べよう』プラネットジアース
香川芳子監修『五訂増補 食品成分表2009』女子栄養大学出版部


2009.08.21 Friday 過去の記事 00:00 comments(0)