これからの時代の栄養学とは


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現在の栄養学をめぐる状況は大きく変わってきています。

昔は、栄養素の摂取が足りない時代でしたから栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルなど)の働きや含量が強調され、食べすぎについてあまり考えなくても良く、何を食べても体にとってよかったのです。

肉を食べるのはいいことだったし、「1日1回油を使いましょう」といった時代もあったほどです。


ところが、1970年代あたりから、日本人の食生活は豊かになって、十分な栄養素を摂りだすようになります。

さらに過剰にカロリーを摂取するようになり、生活習慣病、肥満が問題になり、今に至っているわけです。


私たちは食べ過ぎの時代に入ったわけです。

今ではどうすれば食べ過ぎず、生活習慣病にならないかを考えなければならない時代です。ところがいまだに「○○が体にいい」と栄養素不足の時代と同じことが言われています。

食べ物が豊富な現代は、普通に食事をしていれば、栄養が足りなくて病気になることはほとんどありません。

むしろ、栄養をとりすぎて病気になることの方が大きな問題なのです。


栄養素が足りない時代につくられた今の栄養学は、もう栄養素が足りているのですから、一度、解体したほうがいいのではないかとさえ思います。


今の栄養学が解体したとしたら、次は、「これからの栄養学はどうあるべきか」ということになります。

改めて、栄養学の目的は何なのかを考えてみると、わたしは栄養学の目的は、まず人間それぞれの価値観を認めること、その価値観に応じて支援することだと思います。


とにかく体を強くしたい人、もっと体重を減らしたい人など、それぞれの価値観を認めることです。

それに対して適切な、その人にとっての最大の幸福をもたらす支援をするのが、これからの栄養学だと思います。


たとえば、今の若い人たちのダイエット傾向はとても強いものがあります。
「そんなことすると身体に悪いからもっと食べてもっと太りなさい」といっても、まず聞きません。

ということは、ダイエット傾向を、くだらない行為だといってしまっては、かえって逆効果なのかもしれません。

栄養学という科学である以上、人間にとって幸福をもたらすものでなくてはなりません。


多様化していく人間の価値観と、幸せに対する考え方に、細かく対応していくことが、これからの栄養学の目的だと思います。


つまり、「人間に優しい栄養学」がこれから求められる栄養学の形ではないでしょうか。



<参照・出典:「人間は脳で食べている」「おいしさを科学する」著・伏木亨 ちくま新書>
2011.03.24 Thursday ごはんと食育 00:00 comments(0)