お米づくりと儀式

 
お米づくりは、日照りや大雨など自然の力に大きく左右されます。

古来、このような自然の脅威からお米を守りたいという願いから、各地で様々な儀式や行事が行われてきました。

お米づくりの節目節目で行われる儀式のいくつかを紹介していきます。




まず、お米づくりは、種まきから始まります。

種まき時に豊作を祈願する儀式として、祈年祭(きねんさい/としごいのまつり)があります。

この儀式は西暦675年に初めて国家的祭祀(し)として行われたとされ、祭祀を司る神祇官が五穀豊穣・天皇の安泰・国家安寧を祈りました。

応仁の乱以降、国家的な祈年祭は廃絶しましたが、明治時代には再び国家的行事として再興しました。

第二次世界大戦後は国家的行事ではなくなっていますが、今でも、宮中や伊勢神宮、各神社で行われています。

特に、伊勢神宮では、大御饌(おおみけ)の儀奉幣(ほうへい)の儀という古いしきたりに基づいて行われています。大御饌の儀では、お供え物であるお米などを奉り、豊作と平和をお祈りします。奉幣の儀では、皇室からのお使いにより、天皇陛下から神々への貢ぎ物である布などが奉納されます。


種をまき、ある程度苗が育つと、田植えをします。

田植えの時に田の神がやってくるといわれており、この田の神をまつる行事が大田植(おおたうえ)です。

大田植は、村総出で1日で田植え作業を終わらせる儀式です。美しく飾ったウシを引き入れて代かきをさせ、笛、太鼓、ささら、かね等の囃子に合わせて、新しい晴れの着物に身を包んだ早乙女たちが田植え歌を歌いながら、苗を植えていきます。

この儀式は、今でも中国地方の山間部などで残っています。


田植えが終わると、稲は収穫に向けてすくすくと育っていきます。このときに、問題となるのが水不足です。

昔から、空梅雨(からつゆ)や日照りにより水不足になることを恐れ、各地で雨乞いが行われてきました。

雨乞いには、村民が神社や寺院にこもって祈願したり、山で火を焚いて太鼓を鳴らしたりするなど、様々な形態があります。

今でも、各地で雨乞い祭といった行事が行われています。


水不足以外にも、イナゴやウンカ、ズイムシなどの害虫による被害もあります。

そこで、たいまつの火で虫をおびき寄せて焼き殺してしまう虫送りという行事が行われていました。

ただ、現在は、農薬が発達したこともあり、火事の危険がある虫送りはあまり行われなくなっていますが、祭や行事としてその名残が残っています。


秋を迎え、黄金色の穂がつくと、いよいよ収穫です。

この収穫を祝う儀式として新嘗祭(にいなめさい)があります。

これは、豊作を願う祈年祭と対になる大きな儀式で、宮中や伊勢神宮、各神社で行われます。

収穫された新米やお酒を神に供え、神とともに食するという儀式です。


農薬やコンバインなどの技術が発達するにつれ、このような儀式や行事はだんだんと行われなくなりました。

しかし、今でも、地球温暖化の影響により、暑い日が連日続いたり、巨大台風が発生したりして、お米がとれないこともあります。

あらためて、儀式や行事を見直し、お米がとれることを自然に感謝する気持ちを思い出すことが必要なのではないでしょうか。

2011.03.28 Monday - 00:00 comments(0)