鳴子の米プロジェクト

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今、各地で地域の農業を活性化させようと様々な取組が行われています。


その中から、
「鳴子(なるこ)の米プロジェクト」
を紹介します。



鳴子は、宮城県大崎市の山間にある温泉地域です。
山間地でお米を作ることは決してやさしいものではありませんが、それでも人々は長年この地域でお米を作り続けてきました。

しかし、平成18年4月に、国の農業政策が大きく転換されました。
その当時、本格導入された「品目横断的経営安定対策」により、大規模に耕作する農家や集落営農組織でなければ国の支援を受けることが難しくなったのです。

鳴子で、国の支援の対象となるのは、620戸の農家のうち、わずか5戸でした。鳴子に農業崩壊の危機が訪れたのです。


そこで、国に頼るのではなく、鳴子の農業を地域みんなの力で守っていこうという思いから「鳴子の米プロジェクト」は始まりました。

総合プロデューサーは、鳴子温泉地域の地域づくりを以前から指導してきた民俗研究家の結城登美雄氏です。


まず、プロジェクトでは、「東北181号」という品種のお米をシンボルに米づくりに取り組みました。

鳴子の山間部は寒冷で日照時間が短いため、ひとめぼれやササニシキなど宮城県内の平野部で一般的に栽培されているお米が育ちません。

「東北181号」は、知名度は低いものの、耐冷性に優れ、いもち病に強く、低アミロースで冷めてもおいしい特性があります。
山間寒冷地に向く新しいお米「東北181号」を栽培し、他の品種に負けないおいしいお米を作ろうとしたのです。


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収穫されたお米をおいしいごはんにするために、炊き方についても研究しました。


水分を調整して炊飯テストを40回も重ねた結果、「東北181号」は水を通常の85%で炊いたときが一番おいしいということが判明しました。





更には、こうして作ったお米をたくさんの人に食べてもらおうと、旅館や観光にかかわる人々はお米の提供の仕方や販売ルートを開発しました。

また、パン屋、菓子屋など町内の食品加工業者は、クズ米を粉にして、お米をムダなく生かす数々の商品開発に協力しました。


お米の買い手も協力しています。
現在、お米の1俵(60kg)の価格は13,000円以下です。経費を差し引くとほとんど赤字になってしまうため、お米の栽培をやめる人が増えてしまいます。

そこで、買い手にお米1俵24,000円(52,000円)程度で買い支えてもらい、農家の手取り18,000円を保証します。

差し引き6,000円についてはプロジェクトの事務経費や保管料、米づくりの支援のほか、若者の農業支援などに当て、将来の農家育成などに役立てていきます。


地域の人々やお米の買い手の協力の結果、鳴子の米「東北181号」は、2008年には、販売分180俵が発送前に全量予約完売となりました。

また、「鳴子の米・発表会 春の鄙(ひな)の祭り」など多くの試食会やイベントが開催され、鳴子の米を中心に地域全体が活性化しています。


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現在、日本の農業は、後継者不足や農業従事者の高齢化などにより、耕作放棄地が増加する等、農家任せでは解決できない状況となっています。


消費者も一緒になって、それぞれの地域が、自ら考え、自分たちの地域や農業を守っていくことが必要になっているのではないでしょうか。



2011.03.07 Monday - 00:00 comments(0)