北大路魯山人のお茶漬け

食文化:北大路魯山人のお茶漬け
 

毎日毎日暑い日が続きますが、この時期に食べたくなるのがお茶漬け。
あっさりしていて、食欲のない時でもサラサラと流し込めるお茶漬けは、日本を 代表するごはんの食べ方のひとつとも言えます。

お茶漬けの種類は多種多彩で、全国にも郷土のお茶漬けがいっぱいあります。
お茶漬けの起源は平安時代、冷え たご飯にお湯をかけて食べる湯漬けにあるとも言われていますが、ごはんに具を乗せてお茶をかけて食べるというのはごく自然発生的におこなわれていたのでは ないのでしょうか。

そのお茶漬けを愛し、ひとつの「料理」として見ていたのは、芸術家にして美食家としても名高い北大路魯山人(1883〜1959)です。
魯山人は昭和7年と9年に、お茶漬けについて随想を書き記しています。

その中から3つほどご紹介します。

納豆の茶漬け
「納豆の茶漬けは奇想外に美味いものである。(中略)食通間といえども、これを知る人は少ない」と魯山人。
その作り方は…納豆を器に出して、何も加えず 箸で練ると糸が多くなるが、糸が増えてきてかたく練りにくくなるまで練る。
それに醤油を数滴落として再び練る。糸がなくなってどろどろになるまでこれを繰 り返し、辛子を入れてよく混ぜる。
好みで葱などの薬味を入れる。練り上がった納豆を茶碗にアツアツのごはんを盛った上へ適当に(ごはんの1/4程度)のせ る。
煎茶をかけ、塩気が足りなければ醤油を足して食べましょう。

てんぷらの茶漬け
魯山人によると、てんぷらは揚げたてでもよいが、「てんぷらの茶漬けは古い天ぷらの利用にある」とのこと。
残り物の天ぷらを網にのせあぶって、いくぶん 焦げ目ができるくらいに。
それを熱いごはんの上にのせ、濃いめのお茶をかける。
ポイントはてんつゆでなく、醤油か塩をかけること。
大根おろしを添えても良 く、辛味大根ならなお良しだそうです。

はもの茶漬け
「茶漬けの中で最も美味いもののひとつに、はもの茶漬けがある」と、魯山人も絶賛のお茶漬け。
焼いたはもを熱いごはんの上にのせ、箸で押しつぶすようにごはんになじませる。そこに適宜醤油をかけ、玉露か煎茶を注いで蓋をして1分ほど蒸らし、箸で肉をくずしながら食べる。贅沢ですね。


「よくよく考えてみれば、人の食物に対する要求は、結局肉体がその食物を要求しているので起こると言える」

あなたの身体はどれを要求していますか?


<参考文献>
北大路魯山人(平野雅章編)『魯山人味道』中公文庫
福田アジオ・新谷尚紀・湯川洋司・神田より子・中込睦子・渡邊欣雄編『日本民俗大辞典』 吉川弘文館
中村羊一郎「お茶漬けの意味・由来・歴史」(ホームページ『O-CHA NET』所収)
2010.10.04 Monday 食と文化 00:00 comments(0)