グリーンテクノ計画

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前回は稲の遺伝情報を解明するイネゲノムについてお話しました。

稲の設計図といえるイネゲノムの解析は2004年に全塩基配列を解読して一応終わりましたがこの研究で得られた成果を実際の作物に応用する計画が2005年から進んでいます。

これが「グリーンテクノ計画」です。


稲の塩基配列はわかりましたが、まだ遺伝子の機能についてはわからないことが多く、どの遺伝子を利用したらよい品種ができるかはわかっていません。

この遺伝子の役割の研究をさらに進めて、実際の作物に応用していこうというのが「グリーンテクノ計画」の目的です。


具体的には、有用遺伝子・遺伝子間ネットワークの機能解明、効果的な育種法(ゲノム育種技術)の開発などで、たとえばコシヒカリは味が良いことで知られていますが、病害虫や冷害に弱い面があります。

これを、味はそのままに弱点を改良した品種を開発することが可能になると考えられています。


この他にも、多収穫できる稲、倒れにくい稲、バイオ燃料を作るのに適した稲、生活習慣病やアレルギーなどの予防に役立つ稲、などの開発が期待されています。


世界の人口は、21世紀の半ばにはおよそ90億人に達すると予想されています。

世界の人口の半分以上が米を主食にしていますから、稲の研究は食料の安定供給を目指す上でも注目が集まっています。



<参照・出典:農林水産省HP、独立行政法人農業生物資源研究所HP>

2011.02.09 Wednesday 先端科学とお米 00:00 comments(0)

イネゲノムって何?

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稲は日本だけでなく世界の穀物生産量の3分の1を占める大切な作物です。

それだけに将来、世界の人口が増えても食料が足らなくならないように、稲の根本的な仕組みを解析しようという試みが1998年から世界的なプロジェクトとして進められ、2004年にイネゲノムの完全解読が完了しました。


この事業は国際的な共同研究として、日本と多くの国が参加して行われたもので、日本では、農業生物資源研究所と農林水産先端技術研究所で行われました


イネゲノムとは、稲を作り上げている全遺伝情報のことで、稲の細胞核にある染色体からDNAを取り出し、それを分解して塩基の配列を調べていきます。

DNAは4種類の塩基が対になった2重らせん構造になっていますが、この塩基の並び方で遺伝情報を伝えています。

これを設計図としてタンパク質が作られ、複雑な生命現象をコントロールしています。


イネは約4億3000万の塩基がDNA上に並んでいますが、世界各国が協力して、これらの並び順を明らかにしました。

4億というとピンとこないかもしれませんが、400字詰めの原稿用紙100万枚分という膨大な量です。
それをひとつずつ調べて大型コンピューターでつなぎ合わせると、イネゲノムの全塩基配列がわかり、遺伝子の働きが解析できます。


現在は並び方が分かったので、その並び方がどのような役割を果たしているのかを調べているところです。

今後研究が進めば、病気や害虫、環境の変化に強い作物の育成や栽培方法の改良に役立ち、画期的な農作物・農業生物の作出が可能となります。

例えば、味のよいイネ品種に稲の大敵である「いもち病」に強い遺伝子を導入すれば、良食味で農薬がいらない稲ができます。

ほかにもこれまでに無い機能成分を持った植物や厳しい環境でも育つ植物を生み出すことができると期待され、食糧問題を解決する上で大変役に立つことでしょう。



<参照・出典:農林水産省HP、農業生物資源研究所HP、農水省農林水産技術会議事務局技術安全課>

2011.02.07 Monday 先端科学とお米 00:00 comments(0)

人工衛星を使った米作り

 
おいしいお米を作るためにさまざまな取り組みや新しい技術が米作りに利用されています。

その中で、最近注目を集めているのが、人工衛星を使って宇宙から田んぼの状態を調べる技術(衛星リモートセンシング)です。

宇宙からおいしいお米を見分け、米作りに生かそうという試みです。






北海道立中央農業試験場(長沼町)では、人工衛星の画像を使って、お米のたんぱく質の量を調べ、地図上に表示する技術を開発しました。

元気な植物の葉は赤波長の可視光を吸収し、近赤外線を強く反射します。

これを使って「植生指数」を計算し、この値が大きいほどタンパク質の量が多いことを突き止めたのです。


タンパク質が多いとごはんにしたときに固く感じられ、おいしくなくなってしまいます。

お米に含まれるたんぱく質の量は、土壌や肥料によって変わってきますので、衛星からの情報で作ったタンパク地図は、土地の改良や肥料の選び方の参考になり、お米の集荷・出荷の計画にも役立ちます。


これまでの田の状態を把握するためには人が実際に見て歩いたり、農家の人に聞き取りをしたりと大変な手間が掛かっていました。

しかし人工衛星を使えば広い範囲を高精度に観測することができるのです。


この技術は、本州などでは田んぼの規模や天候などの違いにより北海道での試みをそのまま適用することは難しい面もありますが、人工衛星からの情報を米作りに生かそうという試みは日本各地に広がっています。

土壌マップを作って、その土地に合った品種を導入したり、収量や品質の情報、水田の管理、冷害などの被害状況を把握するのにも役立つと期待されています。

将来さらに画像の解像度が向上し、天候による影響を少なくする技術が開発されれば、農業の効率化に有効な手段となることでしょう。


※「衛星リモートセンシング」とは、人工衛星に搭載した、赤外線、可視光、電波などの機器を使って地表や地中を観測する技術のことです。広い地域を一度に観測でき、人が入れない場所や危険な地域のデータ収集が可能で、気象衛星や地質探査衛星などがあります。



<参照・出典:北海道立中央農業試験所HP、農林水産技術会議HP>
2011.02.03 Thursday 先端科学とお米 00:00 comments(0)

バイオマスとしても注目されるお米

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今、地球温暖化や気候変動など地球環境に対する関心が世界的に高まっています。

その環境保護に役立つと期待されているのが、再生可能な生物由来の有機性資源・バイオマスです。


バイオマスは、地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを使って、無機物である水と二酸化炭素から、生物が光合成によって生成した有機物で、ライフサイクルの中で、生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源です。

このバイオマスにもお米が大いに役立つのではないかと研究が進んでいます。







バイオマスとして利用が見込まれるものは、トウモロコシやサトウキビなどの資源作物や製材工場の残材や生ごみ、汚泥などさまざまなものがありますが、米の栽培に関係するものとしては、稲わら、もみ殻などがあります。

これら農作物非食用部については、年間発生量約1300万トンのうち、約30%がたい肥、飼料などに利用されているだけで、残りは農地にすき込まれるぐらいで、低利用にとどまっています。

これを飼料やたい肥として有効活用することで、飼料用穀物の輸入を減らすことができ、環境にも配慮した農業生産へと変わることができます。


また、科学技術の進歩により、より積極的にお米を利用して、燃料や製品を作る研究も行われています。

トウモロコシやサトウキビが原料として多く使われているバイオエタノールは、同じ植物であるお米からも作れます。

また、でんぷんプラスチックを使って、トレーやごみ袋なども作られています。

まだまだ、低コスト化や耐熱性、耐久性の向上などの課題が残っていますが、将来的には、石油を原料としない燃料・プラスチックとしてあたりまえに使われる日が来ることでしょう。



<参考・参照:農林水産省・地球温暖化対策総合戦略、「バイオマス・ニッポン総合戦略」>
2011.02.01 Tuesday 先端科学とお米 00:00 comments(0)
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