新しいお米の種類<その2>

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新しく開発されたお米の中には
まだまだ珍しいものがたくさんあります。


今回は、人が食べることを
目的としていないお米です。









そのひとつが飼料イネです。

飼料イネは、牛のエサにするためのイネで、お米を収穫する普通のイネとは違い、お米の部分も葉っぱや茎も丸ごと飼料にしてしまうものです。

イネをまるごと刈り取って一つのかたまりにし、それをロール状にラップでくるんで発酵させて牛にあたえます。


日本ではトウモロコシなどの飼料用穀物の自給率が低く、以前から問題になっていました。

またBSE(牛海綿状脳症)などの牛の病気が発生して、社会的に大きな問題になりました。

これらは、海外から輸入した飼料に原因があると言われていて、多くの飼料を海外に頼っている日本にとっては大きな問題です。


一方で、日本のお米の消費量は年々減少し、水田では転作が求められています。

しかし田んぼを畑に変えるには大変な手間がかかりますし、もともと畑には向いていない土地も少なくありません。

その中で飼料イネは転作作物として導入が簡単ですから大きな期待が寄せられています。


この他の珍しいお米として、観賞用のイネがあります。

この品種は、おコメを収穫することが目的ではなく、鮮やかに色に染まった葉や穂を観賞して楽しむためのイネです。

切り花やドライフラワーにしたり、フラワーアレンジメントにも適しています。


品種としては、東北農業研究センターが育成した「奥羽観383号」(2005年品種登録出願)のほか、「奥羽観378号」「奥羽観379号」「奥羽観399号」や九州沖縄農業研究センターで育成された「西海観246号」などがあります。

「奥羽観378号」は穂が鮮やかな朱、「379号」は濃い紫色です。
「383号」は葉に入った白いストライプと紫色の穂、「399号」は白のストライプと白い穂で、「西海観246号」はピンク色の穂が美しい品種です。
このお米は赤もち米としての利用も可能です。


まだ作られる量は多くはありませんが、インテリア用として、また地域の町おこしに活用したりとこれまでになかった利用法が期待されています。



<参照・出典:農林水産技術会議HP、東北農業研究センターHP>

2011.01.11 Tuesday いろいろなお米 00:00 comments(0)

新しいお米の種類<その1>

110107.gif品種改良技術の発達によって、少し前では考えられないような、新しいお米が研究・開発されています。

それは

「お米を食べて病気を治してしまおう」

というお米です。


そのいくつかを紹介しましょう。




大粒・低グルテリン米「春陽(しゅんよう)」は、平成3年に北陸農業試験場で育成された品種で、じん臓病の人のためにグルテリンというタンパク質の割合を少なくしたお米です(ただし、タンパク質全体の量は変わりません)。

人が消化できる易消化性タンパク質のひとつであるグルテリンを減らし、一般品種に比べてグルテリン含有量は約3分の1、易消化性タンパク質は約60%まで減らしています。

タンパク質の摂取を制限されている人や低アレルゲン(アレルギーの原因となる抗原物質)・低タンパク食を配慮している人に適しています。


また、スギ花粉症を緩和するお米の開発研究も農林水産省所管の独立行政法人・農業生物資源研究所で進められています。

花粉症は花粉に対して人間の体が起こす異物反応で、体の免疫反応が過剰に出てしまうものです。

このお米を食べて花粉症が緩和されれば、何回も病院に通う必要もありませんし、痛い注射をすることもありません。
薬と違って飲み忘れもないですから、患者さんにとって負担の少ない治療法だといえます。


すでに、開発はほぼ終わり、現在は食品として、あるいは作物としての安全性を確かめる実験を行っています。

日本で花粉症に悩んでいる人は1700万人とも言われています。近い将来、このスギ花粉症緩和米が簡単で安全な花粉症治療法のひとつとして、ごく普通に使われる日がくることでしょう。



<参照・出典:農林水産技術会議HP、農業生物資源研究所HP>

2011.01.07 Friday いろいろなお米 00:00 comments(0)

新しいお米「低アミロース米」

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農業試験場での研究や品種改良によって、新しいお米の品種が登場してきています。

平成元年〜6年に農林水産省が実施したプロジェクト研究「スーパーライス計画」では、消費者の嗜好や調理用途などに対応した品種の多様化を目指して、胚芽の大きさが通常品種の3倍以上ある巨大胚米低タンパク米など、さまざまな新しい品種が生み出されました。


その中から生み出された品種のひとつが「低アミロース米」です。

低アミロース米は、通常のうるち米に比べてアミロースの含有量が少なく、粘りがあって冷めてもおいしく、お弁当やおにぎりに適しています。


ごはんの味を左右する大きな要素が粘りです。

粘りが強いほどおいしいと感じ、逆に粘りが少ないパサパサしたご飯はおいしいと感じません。


ご飯の粘りはお米に約70%含まれる「デンプン」で決まります。

このデンプンにはアミロースとアミロペクチンの2種類あり、デンプンのアミロースの割合が少ないと粘りが強いごはんになり、逆にアミロースの割合が多いと粘りが少ないごはんになります。


一般的なうるち米のデンプンは、アミロースが17〜23%含まれていて、粘りが強いもち米にはアミロースがほとんど含まれず、大部分がアミロペクチンからなっています。

低アミロース米は、もち米とうるち米の中間のお米で、アミロース含量が3〜15%程度になります。

このため低アミロース米は、普通のうるち米より粘りが強く、柔らかくておいしいごはんになります。


<低アミロース米のおいしい炊き方>

低アミロース米は、粘りが強く柔らかいのが特徴です。
そのためうるち米を炊くときと同じ水加減では、柔らかくなりすぎてしまいます。
普段よりも10〜15%ほど水を減らすとちょうど良くおいしく炊き上がります。

また、もともとねばり気が少ないお米や、古くなってねばり気が少なくなったお米に、低アミロース米を混ぜるとねばり気が増えておいしくなります。
混ぜる量は好みや場合によりますが、3割程度混ぜるときは、水加減を1割ほど減らすとおいしく召し上がれます。


低アミロース米の品種には、
彩(あや) スノーパール ミルキークイーン ミルキープリンセス イクヒカリ(育光)―などがあります。



<参照・出典:農林水産技術会議HP、東北農業研究センター・稲育種研究室HP>

2011.01.05 Wednesday いろいろなお米 00:00 comments(0)

お米の品種改良

0103.gifお米は日本人の主食として大切な作物です。

そのため、多くの先人たちによって、病気や天候の影響に強く、さらにおいしいお米の研究と品種改良が行われてきました。


昭和の初期から数えると、国の農業試験場で改良された品種は、約400種類にもなります。

また、都道府県の試験場が改良した品種も300種類以上あり、作り出されたお米の種類は合計約700種類にも上ります。

この中の300種類くらいが、現在、全国で栽培されています。


日本で、本格的なイネの品種改良が始まったのは、明治36年(1903年)のことでした。

その頃の品種は、特性にバラつきがあり、改良の方法も、もともとあったイネの品種の中から優れた特徴をもつイネを見つけて選ぶ「分離育種法(ぶんりいくしゅほう)」という大変手間のかかるものでした。

この方法で現在広く作られている「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」の祖先である「愛国」や「亀の尾」などの重要な品種が作られました。


その後、優れたイネどうしを組み合わせる「交配育種法(こうはいいくしゅほう)」という方法を使ったイネの品種改良が始まりました。

この方法によって日本で初めて作られた品種第1号が「陸羽(りくう)132号」でした。この品種は寒さに強く、冷害に悩まされていた当時の東北地方で広く栽培され、詩人の宮沢賢治も普及に努めました。


現在日本で最も多く作られている「コシヒカリ」は、昭和31年(1956年)に、品質が良くておいしい「農林1号」といもち病に強い「農林22号」の交配で作られたお米です。

今日、栽培されている「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」などのお米のほとんどすべてが、明治時代より前にもともとあったイネをもとに長い時間と手間をかけて品種改良をしてつくられたものです。

現在でも改良は地道に続けられ、1年間に20種類ほどの新しい品種が生まれているそうです。



<参考・参照:農林水産省・農林水産技術会議HP、農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所HP>

2011.01.03 Monday いろいろなお米 00:00 comments(0)
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