日本の食料問題・環境問題を解く鍵はごはん (保田校長先生)

 



 

人口増加、石油高騰、異常気象の頻発と、世界の食料・世界の環境が不安定になってきている現実は、連日の報道などでご存じかと思います。

私たち日本人はこれまで通りの考え方の食生活をしていて果たして大丈夫なのでしょうか?
そして、将来の子どもたちの幸福を考えた時、何を食べる習慣をつけさせるべきなのでしょうか?

世界の人口は現在およそ
70億人(※1)ですが、今世紀半ばには90億人に達すると言われています。
すでに、子どもも含め約8億人が栄養不足という現状にありますが、今後、ますます食料問題は深刻になっていくでしょう。


カロリーベースでみた日本の食料自給率は、1960年頃は約80%だったのにもかかわらず、2006年には40%を切り39%にまで落ち込んでしまいました。(2014年度39%:農林水産省HPより)
この数字を私たちの身体に当てはめると、生命の61%分を海外に依存しているのも同じです。

もし、何らかの理由で食料の輸入がストップすれば、人口の半分以上は生きられないことになるのです。

現在、稲作農家のみなさんの平均年齢が69歳(※2)に達し、若者はほとんど村にいない現状からみると、日本はやがて食べ物を生産する力を完全に失ってしまうということも、あながち極端な予想とは言えないでしょう。

皮肉なことに、世界的な穀物価格高騰に反して日本のお米の価格は最近まで低下の一途をたどっていました。

理由は国内でのお米の消費が減少しているからです。

パンを食べて海の向こうの麦畑を青々と茂らせる一方で、日本の田んぼには青々と雑草を茂らせ荒廃させているという日本人の暮らしがあるのです。

美しい稲葉の緑が水面に映える初夏の景色。

黄金色に輝く稲穂が涼やかな秋風に揺れる風景。

そのような綺麗な風景の中で子どもたちが育ってこそ、心まで綺麗になるのではないでしょうか。

私たちはいま、美しい日本の景観を破壊し、子どもの心を傷つけながら暮らしているのです。



風景のみならず、水田は洪水防止という安全面にも大きく寄与し、温暖化の中で気温上昇を抑え、光合成により空気中の炭酸ガス(CO2)を吸収してでんぷんに変え、酸素を放出して、環境の保全にも大きく貢献しています。


お米を大切にする暮らしは、私たちの健康を、次世代の食料を、そして環境を守ることにつながっているのです。

私たちの生命の維持に必要なお米と酸素の両方を稲は供給し、私たちを支えているのです。

改めて日本型の食生活の素晴らしさを理解することが大切です。

そして、まず、明日の朝食にはごはんを食べましょう。




(※1)国連の「世界人口白書(2015年版)」より
(※2)2012年度 「農業白書(食料・農業・農村の動向)」より

【2016年3月1日追記

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)

ごはんをおいしく炊くコツ (白井先生)

 

shirai03.gif




ごはんはお料理の基本です。
今回はいろいろなお米とおいしいごはんの炊き方などをご紹介します。

●いろいろなお米
お米はでんぷん質の違いにより、うるち米ともち米に大別されます。
うるち米は普段食べているごはんとして用いられるほか、お酒や味噌、おせんべいなどに加工されます。
もち米はご存じのとおりお餅やおこわとなるほか、みりんの原材料でもあります。

米からもみ殻を取り除いたものが玄米で、それを精米したものが一般的にごはんに使用されている精白米ですが、より玄米に近い七分づき米や半づき米もあります。

玄米は栄養価が高い反面、消化が良くないので、よく噛んで食べましょう。
また、玄米を炊く時には浸水時間も炊飯時間もたっぷりと。

健康志向の高まりでいろいろなお米が登場してきています。
胚芽米はビタミンやミネラルが豊富な芽の部分を残したお米。
研ぎすぎると栄養分が失われるのですすぐ程度に。五穀米はお米に麦・あわ・ひえ・きび・大豆などの雑穀が入ったもの。

ほかにもごまやアマランサスなどが入ったものなど、いろいろな雑穀が入ったお米があります。

また、無洗米とは研がずにそのまま炊けるお米です。

●ごはんをおいしく炊くコツ
おいしいごはんを炊くコツは、きっちり計量し、ていねいに研ぐことです。
分量は1合=180ミリリットルの基本を忘れずに。

200ミリリットルのカップの9分目が1合です。

研ぐ作業は、表面についているぬかを取り除き、ふっくらつや良く炊きあげるため。
ただし、最近のお米は精米技術が向上しているので、研ぎすぎるとおいしいでんぷん質が逃げてしまうので注意が必要です。
最初の水は手早く混ぜてすぐ捨て、そのあとは水を入れながら手のひらで米を押さえるように研ぎ、これを3〜4回繰り返します。研いだ後はしっかり水を切りましょう。

浸水時間として約30分おいて炊きましょう。炊飯器で炊く時は、分量の目盛りまで水を入れますが、新米の時は少なめに。

土鍋で炊く時の水量は、お米の1.2倍の容積です。
沸騰したら吹きこぼれない程度に火を弱め5分、さらにとろ火にして15分炊き、火を止める直前に約5秒強火にして余分な水分を飛ばします。

火を止めてそのまま10〜15分蒸らします。
万が一底の方が焦げにおいが広がってしまった時は、火を止めて広口の湯呑みに水を入れ真ん中に埋めておきます。

蓋をして30分すると、においが気にならなくなります。

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)

「食育」を考える (保田校長先生)

 

yasuda03.gif




みなさんは「ごはんを炊く時の水加減」をご存じですか?

現在、ほとんどの家庭では炊飯器でごはんを炊いているので、その目盛りをみればわかるかもしれません。
しかし、目盛りのない鍋や釜ではどうでしょう?


正解は、湯気も吹きこぼしもほとんどない炊飯器では、お米1合に対し1合が入る容器の水で炊けるようになっています。
つまり容積で1:1の割合です。湯気や吹きこぼしがある昔の釜の場合、吹きこぼれる水を余分に入れる必要があり、水は2割増しとしてきました。


このような暮らしの知恵が家庭で子どもに伝えられ、小学生でもごはんが炊けるようになれば、まさに子ども自らが生きる力を身につけたということになるでしょう。

自分でごはんが炊けるようになれば、子どもは自分の生活能力に自信を持つことができ、それとともに毎日毎日食事を用意することの大変さとありがたさを理解し、家庭における自分の役割をも理解できるようになると思います。

さらに食べ物の大切さや正しい食べ方、健康に生きる暮らし方をも会得するようになるかもしれません。


食育とはこのように、子どもたちにしっかりと生きる力を育むことでもあり、その基本は学校ではなく家庭にあるのです。


私は兵庫県立コウノトリの郷公園が推進しているコウノトリの野生復帰事業のお手伝いをしていますが、その子育てからも食育について考えさせられることがあります。

ヒナは卵から孵っておよそ10週で巣立ちますが、巣立ち間近になると親鳥と見分けがつかなくなるくらい大きく成長します。

当然、エサの量も多く、親鳥の3倍ほど食べるといわれています。
ですから親鳥も両親で必死にエサのドジョウを捕り、ヒナに運びます。
ところが、いよいよ巣立ちの時期になると、親鳥はぱたりとエサを運ばなくなります。
巣立ちは自然におこなわれるのではなく、実はヒナを空腹にさせ、たまりかねて巣から飛び出していくよう、親鳥が仕向けているのです。
無事に巣立ちを終えると、親鳥は早速ヒナにドジョウやフナの捕まえ方を田んぼや用水路で教えるのです。


しかし、いつまでもエサを運ぶ親鳥もいないわけではなく、その親鳥に育てられたヒナは当然巣立ちが遅れます。すると、エサの捕まえ方を学ぶ時期が遅くなり、そのヒナはエサの取り方が下手になると言われています。

自然界でエサの捕まえ方が下手になるということは、生きていけなくなるという厳しい現実があります。


人間にも同じ事が言えるのではないでしょうか。

いつまでも子どもを抱え込み、可愛がっていると、逆に子どもの生きる力を奪うことになりかねません。「可愛い子には旅をさせろ」ということわざがありますが、子どもの頃から生きる力、自立する力を育むことが、家庭の重要な役割です。

食育はそのためにも重要なのです。

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)

夏バテ、疲れにメニューで対抗! (白井先生)

 

sirai01.gif


みなさんは毎日の献立をどのように考えていますか?

冷蔵庫の中身で決める、スーパーの特価品で決めるなどいろいろと方法がありますが、今回はその日の体調でメニューを決める方法をご紹介します。


 「医食同源」という言葉があるように、食事には健康を司る大きな役割もあります。
薬に頼ることなく、材料の持つ栄養素や効能を利用して、ちょっとした不調の解消に役立てることも可能です。

このところ毎日暑い日が続いていて、夏バテの方も多いと思います。
夏バテに必要な栄養素はビタミンB1で、食欲増進作用のあるものが理想的。
豚肉、しょうが、青じそ、梅干し、枝豆、にんにくといった素材が好適です。


<夏バテ対策メニューの一例>

・梅しょうが混ぜごはん

・豚肉の香り焼き

・枝豆の塩ゆで


8月になると、夏の疲れも蓄積されてきます。
疲れには山芋、胚芽米、酢、パセリ、ほうれんそう、ごまなどが良く、ビタミンB1と代謝を促すアミノ酸の補給が肝心です。
しっかり食べて、しっかりと疲れを取りましょう。


<疲れ対策メニューの一例>

・マグロの山かけ丼

・ほうれんそうのごま和え


うだるような暑さが続くと、食欲不振になりねません。

夏バテも疲れも、食欲不振がそもそもの原因の一つですので、しっかりとした対策が必要です。
食欲不振には胃液の分泌を増すものとビタミンB1が必要。
豚肉、ねぎ、セロリ、赤唐辛子、酢などで補いましょう。


<食欲不振対策メニューの一例>

・豚しゃぶキムチ

・セロリのきんぴら

・ねぎとしいたけのレンジ煮


疲れがたまると体調を崩しやすいので、風邪にも注意が必要。
夏風邪は長引くので、早めの対策が必要です。

風邪ぎみかな?と感じたら、ねぎ、ブロッコリー、モロヘイヤ、しょうが、白菜など、ビタミンAとビタミンC、発汗作用のある素材を選びましょう。


<風邪ぎみ対策メニューの一例>

・モロヘイヤスープ

・豆腐のしょうがあんかけ

・白菜と豚しゃぶ鍋(ねぎ・しょうがの薬味)


おいしく食べて健康になりましょう!

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)

日本人の健康はごはん中心の食生活から (保田校長先生)

 

yasuda02.gif




私たちが生きていくためには、毎日、さまざまな食べ物が必要となります。

これまでの人生を振り返ってみてください。ず
いぶんとたくさんの食べ物をいただいてきたことでしょう。そのお陰で、今日の生命があるわけです。


ところで、私たちの食卓にのぼる食べ物の種類や食べ方は、今と昔ではずいぶんと変わってきています。

特に1955年以降の高度経済成長を期に、私たち日本人の食生活は世界に例を見ないくらい劇的に変化してきたのです。

ごはん中心の日本型の食生活は、いつしか朝食はパンを当たり前のように食べ、夕食はハンバーグといった肉や油を使った料理が中心の洋風型となり、便利で美味しい食べ物が当然になってきました。


確かに、こうした食生活は豊かであり、幸せの象徴かも知れません。
しかし、その陰でさまざまな問題が次第に明らかになってきています。


その一つが健康問題です。
確かに子どもたちの体格は大きくなりましたが、かつては老人病と言われていた循環器系の疾患などが子どもたちの間でも珍しくない時代となってきています。

また、特に脂質過剰といった栄養バランスの乱れにより、生活習慣病の一つの指標とされるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が若い世代にまで増加の傾向にあります。

また、脂質の摂りすぎが一つの原因とされる大腸ガンや乳ガンが増え続けていることも大変気がかりな現象です。


脂質の過剰は肉や油を使用した料理が多くなったことだけが原因ではありません。
せっかくの脂肪ゼロの食材である野菜にドレッシングやマヨネーズをかけ油まみれにしたり、おやつとしてスナック菓子やバター味の洋菓子を食べたりといった食習慣も関係しています。

かつては野菜のおひたしには油は使いませんでした。
干し柿や干し芋、かき餅、おにぎりなど昔のおやつには、脂肪分がほとんど含まれていませんでした。


そもそも日本人は欧米人に比べて小腸が長い、乳糖分解酵素(ラクターゼ)が少ない、血糖値を下げるインシュリンの分泌能力がほぼ欧米人の1/2程度といった身体的特徴があるとされています。

そのような面からも、生活習慣病を予防し、便秘を避け、アレルギーやガンを予防する上でも、ごはん中心の和食は私たち日本人に最適なのです。


これまで日本は世界一の寿命と健康寿命を誇ってきましたが、その一因はごはん食にあるのです。
WHO(世界保健機関)の協力を得た調査によれば、非米食文化圏は米食文化圏に比べて肥満も高脂血症も多く、心筋梗塞の死亡率はなんと5倍にものぼるというデータが出ています(注)。


かつて、私たち日本人の食生活では当たり前の食べ物であった緑の野菜、豆類や海藻、そして青魚を見直し、ごはん中心の食生活を実践することが、健康に生きる上で大変重要になってきています。


注)循環器疾患の一次予防に関するWHO国際共同研究センター「高血圧、主要循環器疾患の栄養因子−食事による予防のための国際比較研究−」より

2010.12.01 Wednesday ごはん授業 00:00 comments(0)
| 1/4PAGES | >>