知ってる?兵庫県認証食品

知ってる?兵庫県認証食品


「食料自給率」の向上が叫ばれるようになった昨今、「地産地消」という言葉もよく見聞きします。

ご存じのとおり、地域で生産されたものを地域で消費することですが、生産者と消費者の距離が近くて安心、輸送エネルギーの低減による環境負荷低減、地域経済や食文化の振興に結びつくことなどから、今や全国的な取り組みになっています。


瀬戸内、日本海という2つの海を持ち、山もあれば島もあり、都会もあれば手つかずの自然も残る兵庫県は、その多様性から「日本の縮図」とよばれています。

この恵まれた風土では数多くの山海の幸が育まれ、まさに「食の宝庫」です。

そんな兵庫県内で生産される食品を審査・認証したものが「兵庫県認証食品」です。


審査の対象となるのは、兵庫県産の農林水産物と、これらを主原料として生産された加工食品です。


認証の基準は主に3つ。

・『個性・特長』を有すること
・食品衛生法などの法令基準が遵守されている『安全性の確保』
・生産者が生産履歴などの情報を開示する仕組みを整備している『安心感の醸成』

です。

『個性・特長』については、環境への配慮や生産者の工夫などの生産方法、糖度や食感といった味や品質、こだわりや愛着などを含めた地域性や歴史のうち、いずれかがあることが基準となります。


認証までにはいくつかのステップが必要です。生産者が申請すると、県の職員が現地を訪問して生産現場や製造施設の衛生確認、生産記録保管のチェックを行い、さらにサンプル検査を実施します。

また、出荷・小売り段階でも県が検査を実施します。

検査により安全性が確認されると、ジャンル別に農産物審査会、畜産物審査会、水産物審査会、加工食品審査会という第三者機関による審査を受け、合格すれば兵庫県より認証されます。


このようにいくつもの厳しい目によって審査されるだけではなく、野菜なら農薬、卵ならサルモネラ菌、牛乳なら抗生物質に至るまで細かくチェックされるのです。


淡路の玉ねぎ、岩津ねぎ、三田牛、いかなごくぎ煮といった兵庫県を代表する定番の名産品から、フルーツパプリカ、モツアレラチーズ、ハタハタ南蛮漬など目新しいものまで、2014年3月末現在で1,695の食品が認証されています。

県内の農産物直売所、スーパーマーケットなどで取り扱っていますが、その目印は兵庫県の頭文字「H」をモチーフにした、親しみやすい「ほっとちゃん」マークです。


兵庫県認証食品のうちお米は70品以上あり、お米を原料とした加工食品も、お酒やお餅はもちろん、米粉のシフォンケーキ、純米酒のアイスクリーム、紫黒米健康酢などバラエティも豊富です。


また、漬け物や豆腐、佃煮などのごはんに合う爐かず瓩眇多くエントリーしています。


このような兵庫県の取り組みは、全国でも先進的な施策として注目されています。

根拠となっているのは平成18年4月に施行された「食の安心安全と食育に関する条例」で、この中では、県民も進んで食の安心安全や食育に関する興味を深めるよう促されています。

とは言え、あまり難しく考えずまずは「ごはん」の食卓にこだわりの味覚が揃う兵庫県認証食品をプラスして、地産地消ならぬ地産狠攸瓩鯡わうことから始めてみてはいかがでしょう。



参考文献・資料
兵庫県認証食品拡大協議会発行『美味し風土』
「安心できる食生活と心身の健康増進に向けて」『月刊神戸っ子』2006年10月号
兵庫県認証食品ホームページ(
http://hyogo-agri.jp/ninshou/
 
2010.11.12 Friday 兵庫の自慢 00:00 comments(0)

蛇紋岩米(じゃもんがんまい)って何?

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昨今のグルメブームで、「おいしいお米」の需要はますます高まっています。

それにともない米のブランド化も進み、今やそのおかげで新潟の一地方、魚沼という地名はおいしいお米のとれる場所として全国に名をとどろかせています。


播州米、篠山産コシヒカリ、但馬のコウノトリ米などのブランドがある兵庫県もおいしいお米の産地、つまり「米どころ」です。

そのなかに「蛇紋岩米」といわれる、おいしいお米があることをご存じでしょうか。


蛇紋岩米は、兵庫県北部の但馬地方、現在の養父(やぶ)市、旧八鹿(ようか)町の八木川流域などで生産されています。

流通量が少ないこの「幻の米」は甘みと粘り強く、つややかで光沢があり、ふっくらしていて粒も大きめで非常においしいと評価されていますが、その大きな理由は土壌と水にあるようです。


201011_06_2.gif蛇紋岩とは岩の表面に蛇のような文様が観られることからその名が付いた岩石で、養父市の南但山地で、東西約20km、南北約5kmにかけてレンズ状の大きな蛇紋岩岩帯が広がっています。

ちょうど八木川の右岸に該当する場所です。

旧但東町(現・豊岡市)にも蛇紋岩の地層があります。

蛇紋岩はカンラン石や輝石がもととなっています。

カンラン石や輝石(きせき)は有色鉱物といわれ、一般的に鉄、マンガンほか微量ミネラルの含有量が多く含まれています。


肥料の三大要素、窒素、リン酸、カリウムのみの肥料で育てた米より、ミネラルを含む肥料で育てられた米の方が食味が良いという実験結果もあることから、ミネラルは米の食味を向上させる働きがあるといえます。


また、蛇紋岩は風化しやすいという性質を持つことから、長い年月をかけてミネラルを含む蛇紋岩の成分が風化、八木川流域で堆積し、それが現在米づくりの土壌をつくっているということは想像に難くありません。

特にこのあたりの土壌のマグネシウム含有量は通常の約2倍ともいわれ、カリウムの含有量も豊富。

その上粘土質で、米づくりにはまたとない条件の土壌を誇っています。


おいしいお米が育つ必須条件に、水質が挙げられます。窒素含有量が少なく、ミネラルが豊富で、冷たい(けど冷たすぎない)水、つまり山に近い清らかな水が絶好の条件となります。

その条件に当てはまる氷ノ山(ひょうのせん)山系から流れ出るわき水や雪解け水といった天然水は、山地に隣接する水田に注がれます。

蛇紋岩米の生産地では土壌のみならず、稲を育む水にもマグネシウムやミネラルを豊富に含みます。


蛇紋岩米はこのように奇跡的ともいえる条件で育てられていますが、生産地には篤農家も多く、化学肥料を使わず有機肥料で育てるなどの努力をされています。

魚沼産コシヒカリに勝るとも劣らないという高い評価を得る蛇紋岩米。

その甘みと粘りのハーモニーは、まさに自然と人との犇奏曲瓩覆里任后



参考文献
農文協編『おいしいコメはどこがちがうか』社団法人農山漁村文化協会
神戸新聞出版センター編『兵庫県大百科事典(上巻)』神戸新聞出版センター

2010.11.08 Monday 兵庫の自慢 00:00 comments(0)

山田錦の誕生

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ある日、杜氏の親方が若い蔵人をきつく叱ると、キレて腹いせに灰を酒樽に投げ込んで逃げた。

翌日の朝、せっかく造った酒が駄目になったと蔵の者があきらめて捨てようかと蓋を開けてみたところ、なんと濁っていた酒が澄みわたっていた。

飲んでみるとまぎれもなく酒の味。これは素晴らしいと江戸へ送られ、飛ぶように売れた…。


そんな逸話が残っていますが、無色透明の清酒は江戸時代初期に鴻池村(現在の伊丹市)で生まれました。

以降、生産拠点はより江戸へ運びやすい灘五郷へと移行し、現在でも全国の清酒の約3割を兵庫県で生産しています。

酒造が発展した理由として、宮水(みやみず)をはじめとする六甲山系の伏流水、技術の高い丹波杜氏、六甲山から吹き下ろす寒風などの自然条件や流通に適合した交通の便などいろいろありますが、播州平野を中心に生産される良質の酒米もその一つ。

その代表が山田錦です。


山田錦はもはや酒米の代名詞、押しも押されもせぬ全国ブランドです。

米の表面のヌカ層が薄いこと、タンパク質含有量が低いこと、精米するときに砕けにくいことという酒米に大切な条件を兼ね備え、大粒で心白(中心の白い部分)が多く高度精白に適し、吟醸酒や大吟醸酒にも好適。

弾力がある米質なので麹菌の繁殖が容易、低温でも溶解性がよいなどさまざまな特徴を持ち、全国の酒造業者から高い評価を得ています。


そんな山田錦の歴史をひもとくと、誕生は昭和に入ってから。

しかし、その研究は大正時代から続いていました。

かつて兵庫県内ではさまざまな品種の酒米が生産されてきましたが、県立農事試験場が新品種を発見し、明治末期から「山田穂(やまだほ)」や「渡船(わたりぶね)」などの品種を推奨してきました。

しかし、当時の品種は収量が少なく、草丈が長いために倒れることもしばしば。そこで、農事試験場ではさらなる品種改良、特に草丈の短い品種に取り組みます。


西海重次技師が「山田穂」と「短桿(たんかん)渡船」を大正12年(1923)に交配させ、それがやがて「山渡50-7」という系統の新品種に成長、農地での実地試験にたどり着きます。


兵庫県は昭和3年(1928)に全国でも類をみない酒米試験地を加東郡福田村(いまの加東市)に設立、栽培適地を利用し品種改良と栽培法の改善をおこなっていましたが、新品種も昭和7年よりここで心白量、耐病性、収量などを試験。

さらにより正確な産地適応性をつかむため、美嚢郡奥吉川村(いまの三木市)に委託試験田を設けました。


この試験地の主任、藤川禎次の指導のもと、約20種の酒米と比較され、「山渡50-7」がどの品種よりもすぐれた性質を持つことを確認。

昭和11年(1936)に「山田錦」と命名され、県の推奨品種となりました。

これまでの酒米と比べ心白量が多く大粒で、収量が多いことも手伝い広く普及するようになりましたが、戦時体制による食糧生産へのシフトで一時期は縮小。

それでも藤川はこつこつ献身的に比較試験を繰り返し、山田錦を守っていました。


戦後ふたたび酒米の栽培が盛んになると、山田錦は播州平野を中心とする兵庫県各地、さらに県外へと広まります。

特に気候条件が栽培に適した三木市吉川地区や加東市東条地区では山田錦の栽培が盛んで、品質の高さから全国の酒造メーカー垂涎の的となっています。


兵庫で誕生し、兵庫で生産される山田錦は、今なお後続の品種に王座を譲ることなく、農業と酒造という2つの地域産業をしっかりと支えています。


参考文献
前重通雄、小林信也『最新日本の酒米と酒造り』賢養堂
兵庫県教育委員会編『郷土百人の先覚者』兵庫県教育委員会


2010.11.04 Thursday 兵庫の自慢 00:00 comments(0)

日本一のため池地帯

 
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兵庫県にはいろいろな「日本一」がありますが、ため池の数もそのひとつです。

47都道府県中ダントツの1位で、その数は4万4千と2位広島県の2倍以上の数を誇ります。

全国のため池の数が約20万5千ですから、約2割を占めるのです。


県内では淡路島に約2万2千、播磨地域に1万ものため池がありますが、特に播磨のいなみ野台地にはため池が集中し、東播磨地域(明石市・加古川市・高砂 市・稲美町・播磨町)は水田面積に対するため池の割合が日本一のため池地帯です。

このエリアには39ha(甲子園球場13個分)の面積を誇る加古大池、 37haの天満大池など大きなため池が多いのも特徴です。


では、東播磨地域にどうしてこんなにため池が多いのでしょう。

このあたりは、年間降水量は全国平均の約半分という雨が少ない瀬戸内式気候。稲作のために は、ため池で水を確保する必要があるのです。

いなみ野台地は複雑な形状の段丘が連なる台地で水利条件が悪く、わずかな雨水を無駄のないようにためてきたの です。

それとともに、江戸時代の新田開発で作られた用水路の水を有効活用するためにも役立っています。


さらに、もともと水の乏しいこの地域では綿花を育て ていましたが、明治時代に安い外国綿の流入と高額な地租(税)、干ばつに苦しめられてきました。

その打開策として明治中期から大正初期にかけて淡山疎水を 完成させ畑作から稲作へと転換、ため池を利用した大規模な灌漑(かんがい)がおこなわれるようになるのです。


ため池は古くからいなみの台地の人々の生活に密接に関わってきました。

寺田池では大人への通過儀礼として池を泳いで横断させるという風習がありました。

 天満神社の秋祭では、天満大池の中で御輿をかつぎます。

近年ではウインドサーフィンやスケールシップモデルなどのレジャーにも活用され、親水空間としての 役割も注目されています。


また、池は人工とは言え自然が定着し、豊かな生物環境の場となっています。

高砂市の市ノ池公園に絶滅危惧種のオニバス、ミズニラ、ガガブタや珍しいマミ ズクラゲの姿も伺えます。

稲美町の天満大池には稀少植物のアサザが自生し、そのような環境を保とうと、もともとため池に生息し1個体が1日でドラム缶1杯 の水を浄化するというドブガイ(ぬばたま貝)を放流する「いなみ野パールプロジェクト」がおこなわれ、作家の玉岡かおるさんをはじめとするメンバーが活動 しています。


201011_01_2.gifちなみに、ため池の歴史をひもとくと、メソポタミアでは4800年前、エジプトでも4000年前にすでに築造され、日本でも2000年前に畿内を中心に つくられていました。

一般的に水を蓄えて田畑に供給するためにため池が築造されることが多いですが、稲作に関しては水温をあたためて稲の生育に適した温度 にする役割も担います。


降水の多い山間部でもため池がありますが、これは主に温度調節のためのもので、東山魁夷の名作「白い馬の見える風景」や液晶テレビ のCMで知られる信州・奥蓼科の御射鹿池(みしゃかいけ)はその代表的な池です。


参考文献
日本地誌研究所『地理学辞典』二宮書店
姫路市文化振興財団『BanCul 2008年夏号』神戸新聞総合出版センター
いなみのため池ミュージアム ホームページ 
http://www.inamino-tameike-museum.com/
2010.11.01 Monday 兵庫の自慢 00:00 comments(0)
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